ドビュッシー/レントより遅く

ドビュッシー/レントより遅く La plus que lente この小品は、1910年に書かれたピアノソロのためのワルツで、パリのニューカールトンホテルで初演されています。ドビュッシーが当時フランス社交界で流行していた「ヴァルス・レント」というジャンルに関心を寄せていたという所以もあり「レントより遅く」と命題されたました。「Molto rubato con morbidezza(柔軟さをもって極めて自由なテンポで)」という標語が示すようにドビュッシーはフレキシブルなテンポで演奏されることを念頭に置き、所謂レントのテンポを想定していたのではなかったようです。 オーケストラ版の出版にあたり出版社とのやり取りの中で書き記した「私が夢見た美しい聴衆が集う、あまたの5時のお茶の事を考えてみましょう。」というドビュッシーの言葉の中から、この曲に漂う気品、そして優雅さは、あたかも彼が感じ目にしたパリのサロンの日常の描写であるかのように聴こえます。

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